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白石和泰の発言

2026-06-04 / 参議院 / 内閣委員会 / 内閣委員会

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AIによる自動生成 要約

経済安全保障推進法等の改正案に賛成し、重要物資、医療インフラ、先端技術、海外投資、官民情報共有の制度拡充と中小企業支援を求めた。

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○参考人(白石和泰君) ありがとうございます。TMI総合法律事務所パートナー弁護士、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、そして立教大学の兼任講師の白石和泰と申します。
 本日は、このような貴重な機会をいただきましたこと、誠にありがとうございます。お礼を申し上げます。
 私は、弁護士といたしまして、経済安全保障関係法務を一つの専門分野とさせていただいております。具体的には、研究教育機関をクライアントとして、研究セキュリティー・インテグリティーの確保を法的側面から支援することや、重要経済安保情報保護活用法、いわゆるセキュリティークリアランス制度に関して企業等から寄せられる御相談への対応、それから、経済安全保障推進法に基づく基幹インフラ事業者への審査制度への対応などといった、広く民間事業者における経済安全保障への取組を支援する活動をしているところでございます。
 また、経済安全保障以外にも、個人情報保護法やAI、サイバーセキュリティー、データガバナンスにまつわる法的課題を専門に取り扱っているところでございます。令和七年より、総務省情報通信審議会の情報通信技術分科会電波有効利用委員会重点技術作業班のメンバーも務めさせていただいておるところでございます。
 本日は、法律実務家として多くの日本企業や研究教育機関のアドバイザーを務める立場から、経済安全保障推進法及び株式会社国際協力銀行法の一部改正案について意見を述べさせていただきます。
 初めに結論から申し上げますと、私は、この本改正案の内容について賛成でございまして、早期の成立を期待しております。
 昨今、ウクライナ情勢、サプライチェーンの分断リスク、先端半導体、AI、量子コンピューター等をめぐる技術覇権競争、サイバー攻撃の深刻化など、経済活動と安全保障の境界がより一層曖昧になってございます。本改正案に向けた有識者会議の提言でも、経済安全保障推進法成立後の三年間で、国際情勢の急速な変化や生成AIを含む先端技術開発競争の激化により経済安全保障上の課題が複雑化していると指摘されているところでございます。
 このような状況において経済安全保障法制に求められるものは、民間事業者の自由な経済活動を前提としながら、国家国民の安全に直結する脆弱性については、官民が情報を共有し、予見可能なルールの下でリスクに対処し、低減させる仕組みを整備することかと考えます。
 その意味において、現行の経済安全保障推進法は、規制措置のみならず、充実した支援措置を組み合わせた内容となっていたところ、本改正案は、そのコンセプトを更に推し進め、規制一辺倒ではなく、民間事業者との協議や情報共有、そして金融面での後押しなどの支援を組み合わせつつ、現行の経済安全保障推進法の執行に当たり改善が必要と考えられる点について修正を図るものでありまして、経済安全保障の確保に向けて、総合的な制度設計を企図した適切な内容になっているものと評価できるものと存じます。
 次に、本改正案につきまして、五つの改正ポイントごとに、より具体的に意見を述べさせていただきます。
 第一に、特定重要物資の安定供給確保に関する措置の拡充についてでございます。
 特定重要物資の供給に不可欠な役務を支援対象に加える点は、実務上の脆弱性を埋める妥当な改正と考えております。従来の制度は物の確保に重点を置いておりましたけれども、物資をその用法に沿って使用できる状態に維持できなければ、真の供給網の強靱化は達成できません。本改正により特定重要物資の供給基盤となる不可欠な役務が支援対象となることで、特定重要物資のサプライチェーンの強靱化はより一層充実することになるかと存じます。
 また、特定重要物資等の安定供給に支障が生ずるおそれがある場合に、主務大臣が、供給側の事業者に限らず、需要側の事業者ですね、金融機関、それから物流事業者その他の幅広い関係者に対して必要な情報提供や協力を求めることができる根拠規定を設けることは、合理的かつ有効な措置であると考えております。
 特定重要物資の供給確保は、一企業の努力のみで完結するものではございません。しかし、民間事業者が個社の力量のみで取引先や金融機関等に対して追加的な負担を伴う協力を求めることには、交渉上、契約上の限界がございます。協力を求められる側の企業においても、通常の商取引上の経済合理性だけでは社内的な決裁を得ることが困難なケースが少なくありません。
 この点、本改正により主務大臣が必要な情報収集や協力要請を行うことができる制度的根拠が整備されれば、関係事業者は、単なる一企業間の依頼としてではなく、国としての経済安全保障上の必要性を踏まえた要請として協力の是非を検討することが可能になります。これは、供給側の事業者にとっては関係者との調整を進める際の重要な後ろ盾となり、協力を求められる事業者にとっても、社内における意思決定や説明責任を果たす上での明確な正当化の根拠になるものと考えます。
 なお、現在、経済安全保障に向けた対応について適切に行われるべきである旨明記される方向でコーポレートガバナンス・コードの改訂が進められているものと承知しておりますけれども、当該改訂も事業者には後押しになるものと考えております。
 加えて、本改正案において、条文上、特定重要物資の供給を受ける個人又は法人その他の団体との明記がなされまして、需要側の事業者も連携協力の努力義務の対象となり、当該関係者による取組のために国も必要な措置を講じる努力義務が定められていることも重要な点だと考えております。
 幾ら供給側の対策を手厚くしても、需要側の事業者が経済合理性のみを追求し、不当に安価で売られている外国産の物資を購入してしまいますと、供給側に向けた措置が無意味化してしまいかねません。本改正案が成立した際には、この規定を受けて、今まで手付かずであった需要側の対策を具体化していくことが重要かと考えております。
 次に、第二に、基幹インフラ制度の対象に医療分野を追加する措置についてでございますが、こちらの措置は国民の生命を守る上で避けて通れない喫緊の課題かと考えております。事業者への過度な負担とならないよう、段階的な指定や丁寧な意向聴取といった運用面での配慮がなされている点も適切であるものと考えております。
 もっとも、経済安全保障推進法や本改正案の中では、基幹インフラ制度において必要となる措置についての資金手当てなどは行われておりません。この点、医療業界は苦しい財政状況に置かれているところも少なくないところ、当該制度の対象となる事業者については、別途、管轄官庁によって必要な補助金等の措置がなされるものと理解しているところでございます。
 続いて、第三に、特定重要技術の研究開発支援における指定基金制度の拡充について申し上げます。
 経済安全保障重要技術育成プログラム、いわゆるKプログラムは、先端的な重要技術について、我が国の技術的優位性を確保し、国際社会における不可欠性を獲得していくための政策手段です。
 指定基金協議会を組織することができる基金設置法人の範囲について、従来のJSTやNEDO等に限らず、特定分野に専門性や強みを有する研究開発独立行政法人その他の法人に拡大する点は、各研究開発分野における高度な専門的知見に基づく審査能力と技術管理体制を強化する上で妥当な改正と考えております。
 また、基金の目的全体が特定重要技術の研究開発である場合に限らず、研究開発の一部に特定重要技術が含まれる場合であっても当該基金を指定基金として指定できるよう、要件を柔軟化することも予定されております。これにより、複合的な研究開発プロジェクトに潜む機微技術に対しても、守秘義務を伴う官民の情報共有や政府によるきめ細かな伴走支援の枠組みを取りこぼすことなく適用できることになると考えております。
 他方で、研究機関等における研究セキュリティー及び研究インテグリティーの確保を支援する実務家の立場から、今後の運用について一点申し上げたいと思います。
 情報窃取等が横行する厳しい国際情勢の下、Kプログラムに指定される研究プロジェクトを実施する研究機関においては、通常の研究プロジェクトと比較して、より高度な研究セキュリティーの確保が求められるものと理解しており、研究セキュリティー確保のためにはどのような手法が適切であるのかという点につきましては、不断に見直しをされて、より実効的で充実した内容とすべく継続的に検討していく必要があると考えております。研究機関の現場では、研究の自由や国際共同研究の重要性を尊重しつつも、技術流出リスクや不適切な影響の排除に対応するため、今まさに手探りで研究セキュリティー、研究インテグリティーの確保に取り組んでいる状況にございます。
 したがって、政府におかれましては、研究セキュリティー・インテグリティーをめぐる論点につきまして、ガイドライン、QアンドA、事例集等を通じてできる限り明確に示していただくことを要望いたします。この点が明確化されることにより、研究機関は、過度に萎縮することなく、必要なセキュリティー管理を講じながら、重要技術の研究開発に安心して積極的に取り組むことが可能になるかと考えております。その意味でも、指定基金制度の拡充という制度設計の柔軟化に合わせて、研究機関とも連携しつつ、研究現場に寄り添った丁寧な制度運用が不可欠であると考えております。
 また、管理の煩雑さやリスクの回避から先端的な研究を忌避してしまう、そういうような動きが出ることは懸念されるところでございます。そのようなことがないように、政府とされましては、しっかりとサポートをいただいて、そのような事態が生じないように措置していただければと考えております。
 第四に、JBICを活用した特定海外事業の促進に関する制度の創設について意見申し上げます。
 こちらの創設は、日本の経済安全保障をグローバルな文脈で強化する施策です。昨今の国際情勢に基づく地政学的リスクの下では、民間事業者だけでは投資に踏み切れない海外事業案件が多数存在しますが、JBICが民間事業者への劣後出資等による資金提供を行うことで大胆なリスクテークを可能とする枠組みにつきましては、海外事業に対して民間資金を呼び込む呼び水として有効な設計と考えております。
 ただし、よく民間事業者からの依頼を受けている実務家の立場から気になるのは、当該資金提供が民間事業者にとって利用しやすい制度になっているのかという点でございます。本制度が資金提供の対象とする海外事業は、経済安全保障上は重要ではあるものの、リスクが大きく、経済合理性の観点からすれば、民間事業者単独ではリスクテークすることが難しいような案件を想定しているものと承知しております。
 どのような事業に資金提供するかについては、公的資金である以上、厳格な審査が必要なことは言うまでもありません。しかし、国側の審査が長期化すれば時機を逃してしまうこととなり、投資機会の喪失に直結しますし、審査について予見可能性を欠く場合には、民間事業者は極めて不安定な立場となり、大胆な投資判断に踏み切ることは結局困難となることも考えられるところかと思います。
 したがいまして、民間資金を真に呼び込む呼び水とするためには、投資の初期段階から民間事業者が安心してリスクテークできるような迅速な審査結果の通知など、予見可能性を高める柔軟な運用体制の構築が不可欠であり、運用面での適切な措置をお願いしたいと存じます。
 第五に、総合的な経済安全保障シンクタンク及び官民協議会の創設について申し上げます。
 経済安全保障上の課題は、外交、情報、防衛、経済、技術など各分野にまたがる複雑なものでございまして、府省横断的な専門知の結集が不可欠であると思います。この点、内閣総理大臣が経済安全保障に関する総合的な調査研究を行うことができることを前提にいたしまして、RIETI、独立行政法人経済産業研究所がその一部の業務を行うことができるとすること、言わばシンクタンク機能を持たせることにつきましては、政府の要請に即応しつつ、中長期的な視点から定量的な調査研究や政策提言を行うことができる有益な内容になっているものと考えます。
 官民協議会については、構成員等に国家公務員と同等の守秘義務を課すことにより、政府が保有する機微な脅威情報や民間事業者の有するビジネス上のリスク情報を、適切な情報管理の下で双方向に共有することが可能となります。従前、競争法や秘密管理の観点から、政府、企業間や企業同士の情報共有に慎重な対応が求められてきましたが、本改正により経済安全保障上必要な情報共有の場が法的根拠に基づき制度化されることは、企業の予見可能性を高め、健全な事業活動を促進する上で極めて意義深いものと考えております。
 さらに、本協議会における情報共有に当たっては、必要に応じてセキュリティークリアランス制度の活用を図ることも考えられます。法制化された官民協議会の枠組みにおいて、セキュリティークリアランスを実際に機能させ、情報共有の実績を積み重ねることは、我が国における同制度の運用実績を定着させ、その有用性を実証していく上でも重要な一歩となるものと考えます。ただし、腰を据えて客観的な調査研究ができるように、RIETIにおける適切な人事の仕組み、例えば、ある程度長期間コミットできる仕組みなどが必要と思われますので、御検討いただければと思います。
 最後になりますが、安全保障に完成形はなく、本改正案が成立した後も、AIの更なる進化やサイバー攻撃の高度化、経済的威圧の先鋭化、巧妙化、実際の戦争の頻発といった変化する国際情勢に対応すべく、官民が一体となって制度の運用状況を検証し、必要に応じて迅速にアップデートし続ける姿勢が重要かと思います。
 そして、今後の経済安全保障の深化に向けて、更にもう一点だけコメントさせていただきます。それは、中堅・中小企業における経済安全保障についての理解の醸成です。
 経済安全保障は、大企業においては理解が進みつつあるものの、中堅・中小企業の理解はまだまだであるところ、サプライチェーン上の脆弱性や情報漏えいリスクはむしろ中堅・中小企業にこそありますので、中小・中堅企業における理解を深める実効的な施策の遂行をお願いしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、本改正案の重要性と速やかな成立の必要性を御理解いただき、御審議を賜れますと幸いです。
 以上となります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。